CDが1枚も無い
CDアルバム(一般的に言うところの音楽CD)を1枚も所有していない知人がいる。音楽が嫌いかというとまったくその逆で、仕事(デザイナー)をしながら四六時中、音楽を聴いている。じゃあ、FMを聴いているのかというと、さにあらず。ラジオはバカたれのDJがきゃあぎゃあ騒いでうるさいので一切聴かないという。わかった、i-podなどでMP3を聴いているのだ。ほぼ正解。つい半年くらい前にはそうしていた。だが今はCDと同じファイルサイズ(つまり圧縮したデータではなく、まんまCDの音)をHDDに溜めたデータで聴いているそうだ。凄い時代になったもんだ。
HDDは1TB(テラバイト)の小型で大容量の機器がなんと1万円台で登場してから久しい。いや、ここ1,2年くらいの進化だったか。彼はそれを音楽専用に1台買って、CDアルバムの音を全てそこに入れてしまったという。これならアルバムが1,000枚以上入るし、MP3ファイルのようなやや不満の残る音でもないので、今のところそれがベストだという。そうすることで最も助かっているのは、2,000枚以上はあったCDアルバムがまったく無くなったこと。部屋が想像以上に広くなった。不要になったCDアルバムは、ヤフーオークションでバンバン売ってしまったという。その際、もう聴かないだろうと判断したものについてはデータとしても残さず処分した。ジャケットを見ることが出来ないのは残念だけど、ネットでいくらでも見ることが出来ると彼は言う。それに、クルマで聴きたいものはi-podにデータを移しているらしい。うーむ。ちょっと真似したくなってきたかな。
心配なのは、そのせっせと溜め込んだデータがクラッシュしていっぺんに飛んだらどうすんの、っつうことなんだが、心配ならもう一台HDDを買って、新しくデータを入れるたびに、もう一台にも入れてバックアップを常に取っておけばいいと彼。でも、その以前にそこまで手間かけて保存するもんじゃない。飛んだら、飛んだで、すっきりしていいじゃん。どうしてもまた聴きたいアーティストのアルバムはもう一回買ったり、レンタルしてきて、またHDに入れる、それでいいんじゃないのと彼は言い切る。ますますかっこいい。同様に、アナログで撮ったビデオなどもデータ化して一台の大容量のハードディスクに入れているらしい。
デジカメの写真データについて、私も500GBのHDDを画像データ専用にして保存している。過去のリアルな(プリントした)アルバム(昔のアルバム)の写真も一旦スキャナーで取り込みデジタル化している。そうなってくると、段々思い出の品も実態の無いバーチャルなものになってくる。最後には人間ひとりぶんの様々な体験や所有物もデジタル化して、ハードディスクに記録されるようになるのではないか。つい先日、「バーチャル家族」なんて言葉を使ったが、家族もついでにバーチャルにしちゃえ、友人も・・・・・。そうなってくると、人間、あの高名な小説家が過去に言ったように、人生なんて現象(わたしといふ現象)になってしまうわけだ。いや、もうすでに我々そのものが誰ぞかの所有しているハードディスクの中の単なる記録されているファイルのひとつなのかもしれない。































